CASE
事例紹介詳細
KB’S WEB Vol.57 2025
競争が高まる東日本のサロンから、美容の未来を読み解く
サロンが密集するこの地域では、人々の暮らし方や価値観の変化が、美容の在り方にも確かな影響を与えています。支持されているサロンを取材すると、そこには共通して“暮らしに寄り添うまなざし”がありました。技術の優劣だけでは測れない、生活者に対する洞察の深さが、サロンの未来を形づくっているのです。
都市部では、さまざまなライフスタイルが複雑に交差します。子育てをしながら働く人、在宅勤務中心の人、慌ただしい日々を送る人──ひとつのエリアに多様な生き方が重なり合うからこそ、美容の現場でも“言葉の奥”を感じ取る力が求められます。つまり、お客さまの要望を整えるだけでなく、その背景にある時間の流れや心の状態まで想像し、ふさわしい提案へとつなげる。その積み重ねが、自然と信頼を育てます。
今回の特集の4サロンは、美容室が日常のなかに自然と溶け込むように存在していること、生活導線に寄り添う立地、ふと立ち寄れる安心感、忙しさをそっとほどく時間の使い方──そのどれもが、生活者の「ここに行きたい」という気持ちにつながっていました。取材を通じてサロンは髪を整える場所でありながら、心を整える拠点でもあるのだと実感し、技術、暮らしの理解、働く環境、それらが重なり合い、この地域の美容は次の時代へ向けて確かな歩みを進めています。

uka CEO 渡邉弘幸さん
「うれしいこと」の起点となる場所として
サロンと製品の両方向から満足度を高める
“うれしいことが世界でいちばん多いお店”というビジョンを掲げるトータルビューティサロン「uka」。六本木・東京ミッドタウンを拠点に、ヘア、ネイル、フェイシャル、ヘッドスパ、アイラッシュを横断するサービスで多くのファンを惹きつけます。現在その舵を取るのは、代表の渡邉弘幸さんです。
2009年、前代表・向原一義氏が営む「エクセル」から事業を継承し、「uka」へとリブランディングした際、渡邉さんが重視したのは、先代が大切にしてきた思いを次世代でも共有できる形に言語化すること。ビジョンやターゲット、ポジショニング、DNAを整理することで、美容師からカフェスタッフまで「多様な職種が働く組織全体で価値観を共有できる基盤が整っていった」と話します。
そしてこの基盤と確かな技術を携えて展開した「ヘア以外のサービスの充実」が都心の激戦区で高いリピート率を維持できている理由の一つ。「ヘア・ネイル・スパを一つの場所で提供し、技術者同士がカルテを共有することで、お客さまを立体的に理解することができる。この密な連携が満足度や予約の取りやすさにつながります。さらに、自社でホームケア製品を開発し、サロンと製品の両面からお客さまとの関係を深める循環をつくったことで、新規来店も増えました」。
今後について伺うと、渡邉さんは「若いお客さまも、長く伴走してきたお客さまも、前向きに年齢を重ねていけるよう支えたい」と語ります。体にも地球にも優しい素材を使った製品を取り入れながら、一人ひとりの変化に寄り添う提案をしていく──それは、トータルビューティサロンとしてお客さまと伴走するukaだからこそできること。「美容は外見だけでなく、人と会いたくなる気持ちや毎日のリズムまで整えてくれるもの。ポジティブに過ごす人が増えることは、個人だけでなく社会全体の活性化にもつながると考えています」
uka 東京ミッドタウン 六本木
東京都港区赤坂 9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア 2F ビューティー&ヘルスケアフロア
https://uka.co.jp/

each dee(イーチディー) 株式会社C G F 代表取締役 鈴木 孝行さん
「美容室はお客さまの情報を預かる特別な場所」
“聞く力”と“仕組み化”でニーズに応える
千葉県・津田沼駅と船橋駅の周辺で、「each dee」を含む3店舗の美容室を運営する鈴木孝行さん。このエリアは30〜40代の子育て世代が多い新興住宅地で、働く大人の女性を主なターゲットにしてきた同店は、地域の成長と重なるようにお客さまを増やしてきました。
同店でお客さまからとくに多く聞かれるのが、「カウンセリングが丁寧」という声。これは、施術前だけでなく、施術中・施術後まで3段階に分けて行う独自のカウンセリングメソッドを導入しているためで、「要望の背景や生活スタイルまで丁寧に聞く文化が根づいています」と鈴木さんは話します。
もう一つの大きな特徴が、ヘッドスパに力を入れていること。約10年前から技法の研鑽を続け、仕事に子育てにと忙しい毎日を送る女性が多く暮らす土地柄ともマッチして、現在ではスパだけを目的に来店する方もいるほどです。この取り組みはスタッフの育成にも一役買っており、アシスタントが早い段階でお客さまに施術できる場となるため、自分の成長や価値を実感しやすくなるそう。さらに「あなたのスパが良かった」という指名の声がモチベーションにつながり、定着率の向上にも役立っているといいます。
カウンセリングやスパのメソッドを考えたり、それをスタッフ全員ができるように教育体制を整えたり。そんなより良いサービスを提供するための“仕組みづくり”が好きだという鈴木さん。「『娘が小学生になるのです』『来年結婚の予定があって』など、美容室はお客さまの“未来の情報”まで預かる特別な場所です。美容を軸に、お客さまのニーズと地域をつなぐハブのような“仕組み”を生み出せたらいいですね」とも話します。日々のサロンワークから芽生えた発想が、地域のお客様との関係をさらに深く、豊かにしていきそうです。
each dee(イーチディー)
千葉県習志野市奏の杜1-3-11 1F
https://each-beauty.jp/shop/0000737/

SOL by diar オーナー 葛西 茉奈花さん
子育て世代が集う湘南台で、自由と責任が息づく働き方を育む
神奈川県藤沢市・湘南台。子育て世代が多く暮らし、落ち着いた生活圏に都市の利便性がほどよく重なるこのエリアで、ひときわ印象に残るのが「SOL by diar」の広々としたウッドデッキです。カフェのような開放感をまとったこのテラスは、ゲストをやわらかく迎える場として機能しています。オーナーの葛西茉奈花さんは、「誰もが安心して訪れられる美容室にしたい」という思いを、この空間に託しています。
同店では、ママ層の来店ハードルを下げる工夫を大切にしています。ウッドデッキにはハンモックやブランコを備えたキッズスペースを設け、小さなお子さま連れでも気兼ねなく過ごせる環境づくりを進めています。また、完全予約制を採用し、一人ひとりの時間を丁寧に確保。再現性と満足度を安定して届けるための仕組みです。生活リズムが変動しやすい子育て世代にとって、予定が立てやすい美容室は大きな安心材料になります。
一方で、スタッフの働き方にはしなやかな自由があります。完全自由シフト制を導入し、自分のリズムに合わせて働ける環境を整えているためです。ただ、「自由には責任が伴います」と葛西さん。だからこそ練習会や撮影会を継続し、技術や表現力を磨ける場を欠かしません。スタッフに求めるのは“素直さ”と“謙虚さ”。その姿勢が、安心して長く働ける土台になっているといいます。
こうした取り組みは、離職率6%という数字にも表れています。紹介や地域とのつながりに加え、SNSやホットペッパーを活用した集客も好調。サロンは湘南台の街にしっかりと根づき始めています。
「このエリアでディアグループを代表するサロンになりたい」。葛西さんはそう語り、次のステップとして2店舗目のフランチャイズ開業も視野に入れています。スタッフが役職を経験しながら成長できる場を増やし、地域とともに歩むサロンへ――。“SOL by diar”の光は、これからも穏やかに広がっていきそうです。
SOL by diar
神奈川県藤沢市湘南台2-27-14
https://diar-salon.com/

株式会社 クレドガーデン
ル・ララドゥ 西新井 オーナー 関根 康則さん
クレドガーデン 綾瀬 オーナー 鈴木 隆史さん
ar 西新井 オーナー 浜本 光也さん
地域密着と人材育成を軸に成長を続けるクレドガーデン。
24店舗の知見が息づく、確かなサロン運営
埼玉・千葉・東京、そして海外へと広がる24店舗。クレドガーデンが歩んできた軌跡には、「地域に寄り添い、人を育て、挑戦を続ける」という姿勢があります。ヘアの悩みだけでなく、美容全般の相談ができる。さらに、七五三や成人式といった人生の節目にも寄り添う。そんな同社の思想を受け継ぐ店舗のひとつが「ル・ララドゥ 西新井」です。オーナーの関根康則さんは、「確かな商材と、丁寧に向き合う時間をご提供することで、お客さまの一日が少しでも心地よくなるように努めています」と語り、高単価路線を継続。アイラッシュやスパ、コスメまで網羅する総合提案力が、地域に根ざした信頼につながっています。
人材育成の仕組みもクレドガーデンの強さを支えています。「採用で重視するのは人間力とコミュニケーション能力」(「ar 西新井」オーナーの浜本光也さん)。技術は時間と環境が育てるものだと考え、だからこそ、週1回のアカデミーや合同練習会、独自のInstagram教育アカウントなど、多面的な学びの場を整備しています。“特化しないことに特化する”という言葉のとおり、技術の幅を限定せず、多様な施術に対応できる人材を育てる方針です。
海外展開とベトナムでのボランティア活動も同社の特徴です。「クレドガーデン 綾瀬」オーナーの鈴木隆史さん曰く、「現地での活動に参加すると、スタッフの視野が一気に広がります。美容の仕事が、人の生活や価値観にどう寄り添えるのか。その原点に触れるような時間なのです」。こうした経験が若いスタッフの成長を後押しし、仕事への姿勢にも変化をもたらしています。
店舗展開の方針には堅実さがあります。スタッフが担当するお客さまを引き継いだまま働けるよう近隣エリアでの出店を優先。予約制と飛び込み対応を組み合わせ、地域の日常に寄り添う運営を続けています。「美容の価値観が移ろう中でも、学び続ける姿勢だけは変えない」。三者がそう語る言葉には、未来を見据える静かな自信があります。24店舗で培った知見を礎に、クレドガーデンはこれからも地域とともに、“美しさの選択肢”を広げていきます。
ル・ララドゥ 西新井
東京都足立区西新井栄町2-4-10 ソラトカゼト西新井 2F
https://cred-garden.co.jp/salon/lalado-nishiarai/
KB'S WEB Vol.57 2025
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